新しい音


『千葉大学管弦楽団第九七回定期演奏会』と表紙にある冊子をそれぞれ椅子へ並べておいて開演までの時間を妻と私は『習志野文化ホール』の中庭へ出た。雨は今やんだ所で、庭石やカエデの葉がみずみずしくぬれていた。楽団には、入学と同時に入団して孫の孝がいる。

チャイコフスキーの「悲愴」が流れ出た。すべてが新しい。客席の私らに孝の弦の震えが伝わる。新しい音がいま新しい人々によってこの世に生まれる。
妻も私も立てずにいる。


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