ゲンノショウコ

労働・農民運動が全国的高揚をみたころ

一九二二年に主権在民と反戦平和を目指す日本共産党が誕生

驚いた権力は天皇絶対の政治体制護持と

軍国主義政策に反対する運動の抑圧を狙って

一九二五年に治安維持法を公布

横浜事件は

被検挙者八〇名余に及ぶ太平洋戦争下の言論・思想弾圧事件である

根拠法は治安維持法

雑誌｢改造｣の一九四二年八月号と九月号に連載された細川嘉六氏の論文「世界史の動向と日本」に権力が目をつけ

神奈川県警特高はまず細川氏を逮捕した

人的連携を持つ一連の事件として特高は「米国共産党員事件」や「ソ連事情調査会事件」「共産党再建準備会グループ事件」「政治経済研究会事件」「改造社並に中央公論社内左翼グループ事件」「愛政グループ事件」をつぎつぎでっち上げた

芋づる式に逮捕された人々は特高のいうとおりに｢自白｣するまで

警察の密室で知性も人格の尊厳も社会的地位もすべて剥奪無視され

｢小林多喜二がどうなったか知ってるだろう｣と呶鳴られて

文字通りぼろくずのように叩き付けられ踏みにじられ

獄死者四人｢中央公論｣｢改造｣は廃刊させられた

事件被害者らが｢特別公務員暴行傷害罪｣で告発した拷問特高二八名のうち

有罪となった者は三名

凄惨な拷問にさらされた人のほとんどはすでに死亡している

(その無念を思う)

「日本国政府は

治安維持法等の犠牲者に対し

帝国政府に代わって謝罪し

賠償しなければならない」※

※(「治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟」の要求)

(この詩は｢前衛｣〇三年九月号｢横浜事件再審請求と戦後責任｣橋本進　に学んで書きました。)